2017年6月8日木曜日

『一万二千年後のレフュージア』設定の説明

●簡単な年表

・西暦2020年頃
 宗教問題やテロ、領土争いが世界各地で激化し、一種の「世界大戦状態」になる。
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・西暦2022年 
 環境に負荷をかける人類を「減らす」目的などのため、2発のアトミック(MK1及びMK3)が使用される。人類の50~60パーセントが「人炭化」する。のちに「シャイン・ライン」と呼ばれる現象。
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・西暦2022~2023年
 アトミックによって舞い上がった海水と粉塵によって、地球規模で9ヶ月間ぶっつづけの雨が降る。生き残った人類(蛮族含む)の50~60パーセントが死亡。

 これにより「石油機文明時代」が終焉し、「アフター・サンセット」の時代に突入する。

 その後400年ほどは、食料や「石油機文明の遺産」を奪い合う「人減(にんげん)戦争」が続く。概念鎧が実用化。ニューカムの誕生。
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・シャイン・ラインより1000年後
 地球上の生物種の70パーセント以上が絶滅。哺乳類は90パーセントが絶滅。
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・シャイン・ラインより5000年後
 西暦2020年ごろからすでに起こっていた「小氷河期」から、そのまま「氷河期」に突入。人類が経験するもっとも厳しい氷河期。海岸線が後退し、地中海、黒海、東京湾などが干上がり砂漠となる。富士山の噴火。
「テンタクル・クラウド」による被害が深刻化する。
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・シャイン・ラインより一万二千年後
 主人公が「第3学校遺跡」より発掘され、概念鎧として復活する。「神聖ナチズム合衆国」と「トウ共和国」の間で最後の戦闘が行なわれる。
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・シャイン・ラインより二万四千年後
 再び人炭となった主人公が復活する。
 
 

●シャイン・ラインについて

 終わりのない戦争と、増えすぎた人口、そして来るべき氷河期への対策として実行された、「アトミックの投下」。この2発の核兵器によってもたらされたカタストロフィは、そのときの可視化された光線の印象から「シャイン・ライン」と呼ばれるようになった。
 
 これは人間の「人炭化」の他に、人間の大脳新皮質を破壊し、一種の「ロボトミー」を施術した状態にする効果があった。

 人炭は、のちの人類が生き残るための「貴重な資源」となり、ロボトミーされた人間は「蛮族」として進化して、人類に徒なすようになった。
 
 

●ニューカムについて

 ニューカムのそもそもの目的は、純粋に愛玩用だった。

 2発のアトミックの炸裂以後、荒廃した大地においては、激減した人口の維持と計画的な増加が急務だった。
 
 当時の人類にはまだ余力があって、のちの「sex牧場」の原型にして遥かに効率的な施設が考案された。

 初めは、いわゆる「普通の人間」が製造され、当時の有力者階級や戦士階級に与えられた。この政策は、人間、とくに男の士気を上げるのに極めて効果的だった。
 
 これらの女性たちは残存する「石油機文明時代」の技術の粋を集めて作られたものであったが、行為には原始的な形態がとられた。すなわち性行為である。

 やがて、普通の「人間」に飽きた人々の欲求に答える形で、「エルフ(のちの長耳族)」が製造されるに至った。人間の耳には、かつて耳の長い獣だったころの名残である「ダーウィン結節」があるため、この改良は「ソソ」と「中立遺伝子」を用いて容易に行えた。

 余談だが、当時の選挙の公約に「私が当選したあかつきにはエルフを作ります」というのがある。

 エルフと同じような需要から、「猫人(まおるふ)」が作られた。
「かつて存在した猫のように可愛がることができ」、「お手伝いさんとしても使え」、しかも「生殖能力がある」ということで、ほとんどの人間に歓迎を持って迎えられた。

 ただ、猫人たちに危機感を抱く者がいた。

 エルフたちである。
 
 すでに一定の社会的に一定の居場所を占めていたエルフたちは、この新参者を脅威ととらえた。

 自分たちの立場を守るべく、当時激化していた「人減戦争」や蛮族との戦いに積極的に加わる。

 これら耳の長い少年少女たちは、古参兵から「ニューカマー(New Comer)」と呼ばれた。これが、ニューカムの語源となった。

 やがて、純粋に戦闘用のニューカムが作られる運びになった。竜人の誕生である。

 骨格系および筋力系を強化し、鱗化の機能を持たせる。人間を超越する運動性能と、敵を引き裂く能力のため、戦闘においては手に負えない相手に対する「ピンチヒッター」的な運用をされた。

 この活躍によって、ニューカムはますます生産されるようになり、もともと生殖能力が強いように改良され続けたこともあいまって、やがて「人間」との人口比が逆転した。

 一万二千年後においても、人間よりニューカム全体のほうが、人口が多い。

 余談だが、神ナズの「アトミック教原理主義」は、この人口比に対して危機感を抱いた人間側の、強力な拒否反応、と考えることもできる。
 
 

●人炭について
 
 人体の形成には、科学的な要素と非科学的な要素、二つの作用が存在する。

 一つは、人体内の炭素を固定化し、物理法則のぎりぎりまで圧縮する作用である。
 もう一つは、ソソによる小規模な現象だけの時空転移となる。
 わかりやすく言うと「億単位の時間がかかる化石化を先取りする事によって達成する」ことだ。

 この尋常でない方法は、当時いた70億以上の人間に実施され、地下やよほどの辺境にいた人類以外、等しく「人炭化」することになった。

 のちの魔教導文明時代に大きく発展したフロート・シェルは、この時間の固定を、本来の時間軸に戻す「一種のタイムマシン」であり、小さな時空転移装置と言える。
 
 

●概念鎧について

 そもそも「人炭」は、人体を物理法則のぎりぎりまで圧縮する形で形成されているものであった。その圧縮を「元に戻す」際、反動の強さから人体をそのまま復元ということができず、人体の周りに人体の「延長された表現型」として「鎧」が形成される事になった。いわば「概念鎧」は、副産物から発展したものだった。

 この副産物としての鎧は、当時の人減戦争化の情勢から大きく注目されることになる。当初、幾分人道的な意味合いさえ持っていた人炭の復活は、間もなく「強力な兵器を製造する」という方向に驀進していくことになる。「如何にして鎧を強化する形で復活させるか」に心血が注がれ、そのため「フロート・シェル」の改良も進んだ。

「シャイン・ライン」から一万二千年たった時代において残っているフロート・シェルは、いずれもその最終系とも呼べるもので、これによって復活したマモルや彼の兄はその時代においては手のつけられない存在となっていた。

 人減戦争時、概念鎧の主な敵は、人間の兵士や蛮族だけでなく、戦車や装甲車などの車両、そして同種の概念鎧であった。人減戦争の初期に発展した「魔教導文明」は、まだ高い技術力を保有していたため、いわゆる「機動兵器」の運用が十分可能であった。

 概念鎧はその中で、威力、運用のしやすさ、そしてコストパフォーマンスにおいて圧倒的に優れていた。当時の資料によれば、一般の歩兵がもっとも恐れるのは概念鎧であり、もっとも欲しい味方が概念鎧であり、そして事実、戦死者の15パーセントが概念鎧によってもたらされたものだった(一番多いのは戦病死による死者で40パーセントほど)。

 とくに脅威となったのは「再生する装甲」で、「撃たれても、瞬時に強化されて復元する」構造は、交戦相手に絶望を与えた。

 最終的に概念鎧は、当時最強の陸戦兵器であった第5.5世代型戦車の主砲(50キロ先から50センチの鋼鉄を貫通できる威力)の直撃にも耐え、あまつさえ一人乗りの小型飛行機が搭載する戦術核程度なら耐えられる能力さえあった。

 この概念鎧の主要な成分は、「ソソ」によってほぼ限界まで圧縮された「炭素」および「水」である。

「ソソ」の性質の一つに、「普段はゆるやかに結合しているが、衝撃に対しては頑丈に振舞う」というがあり、この特質によって、物理的な干渉はほとんど受け付けなかった。熱や電磁波などのいわゆる「波」に対しても大きな抗尽性を発揮し(鎧を形成する細かい粒子が波を拡散させるため)、鎧内部の人間を的確に保護した。

 概念鎧の駆動方式は、水と日光によるものである。概念鎧内部は一種の「閉鎖生態系」になっており、ツバメはこれを、植物→プランクトン→魚の食物連鎖が安定している、完全独立型アクアリウムの比喩で例えている。

 こうして内部で生み出されたエネルギーは、循環するごとに増幅、貯蔵され、間もなく使用分が未使用分を超える。
 マモルがまもなく、光合成ができない夜であっても動けるようになったのは、余剰エネルギーが出来たためであった。

 ただ、致命的な欠点として、これらの活動に「ウミ」が出ることが上げられる。ウミは鎧の外にも出るが、基本的に内部に発生してたまり、やがて鎧の搭乗者を「水死」という形で死に至らしめる。

 この副作用は、魔教導文明時代にも解決しようと努力がなされたが、ついに果たされず、人類は衰退を向かえることになる。

 徐々にウミが溜まっていくのは、筆舌に尽くしがたい恐怖であり、水死の前に狂死する人間もいるほどであった。

 そういった意味では、主人公は外圧に強い柔軟な精神をもっていたと言える。

 
 
●ソソ

 この物質を解明したあかつきには、タイムトラベルは思いのまま、ひも理論を解明し、指先一つで世界を滅ぼし、どこでもドアを実用化させる。まさになんでもありの物質である。

 ソソは単一の物質の名称ではなく、P・M2.5のように複数の物質があつまったものである。

 ただ、その根幹は、「ヒトの『想い』に敏感かつ、ダイレクトに反応する」というところで一貫している。

 なお、空気中でのソソの媒介には「エーテル」という物質が関わっている。これは酸素に似た性質を持つものである。酸素が「燃焼」や「降雨」の媒介になるように、エーテルもソソと結びついて、あらゆる現象を起こす。

 これは魔教導文明時代に散布され、一万二千年後の現代でも大気中に10パーセントほどの割合でただよっている。

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